イノベーションマネジメント 講義ノート
第1回
先生の紹介(吉田 敏先生)
ゼネコンで12年くらい働いていた。高校の設計とか
数百人・数百社が参加する大きいプロジェクトのマネジメントをゼネコンがやっている。最初4年くらいそれをやっていた
その後イギリスのロンドンに赴任したら、全部が違った。日本の設計とは全然違う
もろもろのすり合わせをあまりやらなくて、最低限の仕様
雑だと思ったけど合理的だった
その後タイに行ったら今度は日本に近かった
アメリカに行って大学院に行く
9.11のメモリアル
建物ではなく光のモニュメントが受け入れられた→モノの価値ってなんだろう?
日本で博士課程
経営学の先生に学ぶ→経営学の先生は金儲けのことだけ考えているのではなく、価値ってなんだろうということを考えている
生産研で准教授に
企業に入って、イノベーションを起こす方法を学べるかというと、たいていの場合そうではない
日本の企業がどんなイノベーションを起こした?
ソニーのウォークマン
昔はたくさんあったような気がするけどこの頃少ないと思える
イノベーションとは?
物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。(Wikipedia)
ものを作ることがイノベーションではなく、それが社会に浸透することが重要
イノベーション25:2007年に内閣府から出た将来のビジョン
エモだ……
日本での「イノベーション」の初出/一気に言い出されたポイント:「イノベート・アメリカ」(パルミザーノ・レポート)
ここから各国が急にイノベーションを意識し始めた
非連続性
ブラウン管から8Kテレビまでで非連続な変化はどこ?
ブラウン管から液晶になったところ
チューニングが不要になって大量に作れるようになった
そのときに戦略が必要になり、中韓の戦略が日本に比べて優れていたといえる
非連続な変化では戦略が必要
ここでの「イノベーション」の定義
既存の経済活動の慣行軌道を 非連続に変化させながら 社会に浸透する新しい価値を創出する現象
日本の企業の多くが「造り手視点」になってしまって、「使い手視点」が得られていない
歴史
シュンペーターは「イノベーション」という言葉を使っていないが、考え方はここで提案された
ケインズとシュンペーターは仲が悪かった。ケインズは徐々に社会がなめらかによくなっていくというのを前提とした経済学の主要な部分を確立したが、それへの反動だったのでは(先生)
https://gyazo.com/42e0c1ff51c6adc9762487ad4a197770
それ以前の経験が活きるのか活きないのかがイノベーションとそうでない漸進的な進歩の差分
https://gyazo.com/0dffee7616ca473fd748701b2a5cc3a5
シュンペーターの最初の定義
ex. 乾電池
乾電池ができる前は規格化されていないバラバラのサイズのバッテリーを使っていた。その会社のそのバッテリーを買わないといけなかった
販路や市場を開拓した(コンビニで買えたり、乾電池チェッカーができたり)
新しい組織形態を作った
新しい生産方式
考えた人が一番得するような戦略を日本の企業は全然考えていない
いいものを作っても、自分のところに一番情報や資本が集まるような仕組みにしていない
国際会議で思ったこと
アメリカとイギリスだけ交渉の専門家が出てきた。日本からは大学の先生が出てきた
アメリカとイギリスの人が途中から会議を回し始めて、最後には一番都合のいい結論にまとめた
https://gyazo.com/90f7acf61aebdccbb30e66c014873ba7
ドラッカー:ピンチに陥ってようやく今までの経験が活きないことをやるモチベーションが生まれてイノベーションが生まれることが多い(すべてのイノベーションがそういうわけではない)
何でもリスクはあり、全くリスクを伴わないで持続する方が困難。成功した改革者は、リスク志向の人間でなく、機会思考である。
インシュリンの技術開発
https://gyazo.com/48ae6d46f3e496ae4474a3f225e41f98
https://gyazo.com/d8e2b2d69f6d6ed92df48f6d519784d9
このあとイーライ・リリー社はインシュリン製造から撤退
https://gyazo.com/791fd827afaf1c1c8d0527b0647c2fe0
https://gyazo.com/b97f9fc28d690daa5d055857d16de55c
主要なユーザーの需要を超えて純度を高め続けてしまった
純度を高めることが唯一の価値だと思い込み、それに気づけなかった
https://gyazo.com/ac1de1f434aea9af658a5fd57ffd154c
そこでこれが出てくる
https://gyazo.com/a1b8ef35ef0ac3be681a7e080caad17d
インテルは自社で研究せず、世界中の研究プロジェクトにベンチャーキャピタルとして支援している
https://gyazo.com/789b0a8891a76b45158a39921627b4f9
第3回
破壊的イノベーションについて:日本の企業は破壊される側の典型例
ホンダのスーパーカブ:ハーレーとBMW以外すべてのメーカーを北米市場から追い出した
https://gyazo.com/8b46de68d54def117b3aec5b056cbfdf
ハーレーやBMWの大きいオートバイでロードトリップする市場しか存在しなかった
https://gyazo.com/478463e114b96a963b9bda17007e1326
https://gyazo.com/57c473e88ef3ede1e166412053c1afca
ホンダがもともと売る予定ではなかったモデルが注目され売れた
既存の販売店では大型のかっこいいバイクを扱っていたので売ってくれなかった
https://gyazo.com/a2b664aa5bfc211f73ccfdd226fde837
ハードディスクのサイズ:8インチ→5.25インチに
https://gyazo.com/348ea2200da855a211216c446161e682
破壊的イノベーションの構図
1 当初はメインの市場の顧客は興味なし
2 当初の需要は大企業にとっては小さすぎる
3 新技術の使い方が徐々に見出され、需要が生まれる
4 技術開発によって早い仕様向上
5 新技術によって既存市場も網羅
6 遅れた大企業は追いつけない
https://gyazo.com/30748eb050863e06c485e8a5c36f6208
破壊的イノベーションに対するマネジメント
https://gyazo.com/98fcd6a399cb0b2a014a05f90c9f78ae
どんどん技術が向上していくと途中でニーズを追い抜く
ex. 8K
追い抜いたけどいいか、という感じでどんどんアップマーケット・どんどんニッチになっていく
https://gyazo.com/a7bcd38b258e44fea01a8dc5d453d628
市場にうまく合わせていく
ex. 大衆車メーカーは常に大衆車を作っている
先生「こんなこと実際にはできないんじゃないかと思う。この図の交点が見つからないからみんな苦労しているのではないか」
https://gyazo.com/1b8518e773bbe46691a5c0c67d51e599
顧客の求めているものを変える!
記憶媒体、OSなどすべてを使って市場全体・世界全体の期待を持ち上げることで継続的な成長を仕向ける
https://gyazo.com/ed56c0d01ab422619d2ae4743355dea1
「ある企業の価値観」がその企業の成功体験によって凝り固まってしまう
今の社長がもともと何をしていたのか?例えば営業から上がってきた人、開発から上がってきた人があるとき突然ボードメンバーになるが、その人が一体どのタイミングで経営を学ぶことができたのかというと怪しい
オープンイノベーション
https://gyazo.com/c538c0f69bc2e0217b3e5b7f008f0066
青い部分が重要らしい
ex. 「共同開発」という形で昔から存在していた
事例:アニメ映画
ディズニー(Pixar)の映画は監督・脚本が毎回ほとんど違う(時々同じ人もいる)
ジブリは監督・脚本がほとんど宮崎駿、その他のスタッフも全部同じ人
「インターフェイス」の設計がなされていると違う人が担当できる
https://gyazo.com/e5e1a1f0549721e36686e1f785de65f9
https://gyazo.com/6469c7c1b9134dc9e63c6d03df75c646
知財、大変納得
https://gyazo.com/1456b525ab5a1017985d994b2ad719fd
https://gyazo.com/a2ab196e9f4aef08fefee5d7fc275949
死の谷・ダーウィンの海を越えるのが難しいので、全部1社でやるのはリスクが大きすぎる
(疑問:じゃあ誰が基礎研究をやるのか?)
https://gyazo.com/5fae8a96fc4b35c746e985b7b915a358
Xeroxはクローズド、AdobeはPostScriptをオープンにしたため発展した
インテル:自社で基礎研究を行わない
最小限の情報で研究を行う原則「問題に対する解答を憶測できれば、それが正しいかどうか確認するために科学を利用する。間違っていれば別の解答を憶測する。(この繰り返しを行う」
→スピンオフされる企業はほとんどなかった。
日本にもあるじゃん?インテルの凄さは?
大学への資金提供:提供した相手と直接接触していく
お金を出すだけでなくしっかり監視する
将来の見通せない研究に投資しない
本当に将来性があるのか厳しくリアルタイムで審査がある
研究員は製造部門で6ヶ月研修;外部の研究成果と製造部門を直結させる
世界中で自分たちに必要な技術がどこで生まれようとしているのか見させる
先生「これをやったほうがいいんじゃないかと何度も言ったけど、まだ専門家を育成する流れが日本企業ではできていないし、これを欠いたままオープンイノベーションを進めることに関してかなり危機感を持ったほうがいい」
https://gyazo.com/c561836353f910737816ad3272a7e7c7
コンテナもオープンイノベーション
マックリーンは当初、コンテナの陸上輸送をすべて自社で行う予定でした。しかし、政府の規制により、自社で行うことができる陸上輸送の範囲は自社航路に付属するごく一部に限定されてしまいます。そのため、コンテナの陸上輸送部分に関しては、外部のトラック業者と契約する必要性が発生しました。
そこでマックリーンが考案したのが「トレーラー交換契約」です。まず彼は、陸上ターミナルでコンテナを保管する際には、コンテナをセミトレーラーに乗せた状態のままにしました。その上で、ターミナルにおいてトラック業者にコンテナをセミトレーラーごと貸し出します。トラック業者はコンテナを荷主に届けることで運賃を稼ぐことができますが、その一方で、マックリーンの会社にコンテナの賃貸料を支払う必要があるということです。この賃貸料は賃貸期間が延びるにしたがい急激に増加する料金体系になっていたため、トラック業者の間にはコンテナを素早く届けるインセンティブが発生します。その結果、コンテナの利用率が向上しました。トラック業者にとっては、適切なコンテナ賃貸料のもとで陸上運賃を稼げることは魅力でした。加えて、コンテナはセミトレーラーに乗せられた状態で管理されているため、業者は速やかにコンテナの配送に向かうことができる点も大きなメリットでした。
オープンイノベーションの論理的盲点
https://gyazo.com/f148fd426a578c08275afc35a983e5e7
https://gyazo.com/d42fd0cb393ffd5cfe51e913794b10d8
例えば:隣の研究室とどう研究をやるか
https://gyazo.com/ffa8315a158d9b9ff338f3d6edd37847
オープンイノベーションで成功した企業は元から何か特別な力を持っていたのでは?という疑念
2023/05/01
どうものを作るのかのプロセスは意外とどこでも教えてくれない
https://gyazo.com/1c4dfe897d9d673d4bf77afb0f8fbc3f
作り手にとっての対象者はあくまで仮説にすぎない。インシュリンの開発者は専門医にフォーカスしていたが、本当は患者とか患者の家族とかだった。
使い手や買い手を把握することは、不確実性が多く存在する以上、極めて困難な場合が多い。むしろ、多くのつくり手は、考えやすいように自分たちで勝手に対象者を限定している。
⇒ つくり手は、自分たちの仮説に基づいて対象者を想定している(A)。
さらにその要望を正確に書けるかというと書けるわけがない。使い手の要望を使い手に聞いてもわからない。
構成設計・工程設計は日本の会社はめちゃくちゃやっている
先生「自分たちが誰に向けて作っているかを毎週30分でいいから考えろと企業には言っている。実際に洗い出すと関与者は10くらいはいるはず。でも見ることができているのは1~2だけになってしまっている」
8Kテレビは誰に向けて作っているのかちゃんと考える必要がある。
感想:でも業界内部の人とばかり関わっていると難しいよね。他人が8Kやってます!と言っているタイミングだと自分もやっておかないといけないんじゃないかと思ってしまう。Appleとかの、社内で何をしているのかわからない感じ、表に出さずにリサーチする感じは他人に惑わされないという意味でも有効なのかもしれない。自分でじっくり考える時間を作る
https://gyazo.com/755908d8a34b938a0a71f4abca2b0f3e
機能、役割、はたらき
作り手はちゃんと作っていても、使い手から見てそう認識されていなければ価値は取り出されない
https://gyazo.com/5c9d890be59e47e44b75dc760b7cff55
2023/05/08
海老澤伸樹 先生(元 本田技研研究所 常務執行役員)
90年代の成功事例(初代オデッセイ)、2000年代の失敗事例(インサイト)を紹介していく
経歴
1977に四輪のインテリアをやりたいと思って入社した
空間とか人に興味があった
電気製品がアナログからデジタルに変わる変革期。技術革新が進むときには新しいデザインが生まれる可能性が高いと感じていた
エクステリアデザインは造形的・感性的な要素が多く、どちらかというとロジカルにやっていきたいと思っていたからインテリアに行った
6~7年インテリアやコンセプトを考えた(2ndシビック 1stシティ 3rdシビック)
3年欧州で研究所設立のための調査とかをやった
1987からデザインの主導、マネジメント・エクステリアも担当
2000〜2011:ディレクションとブランドも担当
2016から教授になってデザインエンジニアリングの教育に関わる
バブルの終焉:ホンダはやばいと言われていた。三菱に買われるんじゃないかという話
ひっくり返したのがオデッセイ、LCVシリーズ(CR-V, ステップワゴン、SMX)
一方リーマンショックでヤバかったときに出たのはインサイトだったが、これは復活にならなかった。復活させたのはN-BOX
ホンダの組織としての特徴:多様な商品群、ハード志向、グローバル志向
研究所を持っている!別会社
本田技研工業は本田技術研究所とは違う会社にしている。株も非公開
生産・販売が本田技研、商品開発と研究が本田技術研究所
本田宗一郎が1960年(会社ができて12年後くらい)にいろいろ話し合った
生産・販売は1日スパンだが、開発はもっと長い目線。それら2つが同じ目線で評価とかされていいのか
儲かったからそれを研究しようみたいになると困る
本田技術研究所の社是
「個性と能力の自由な発揚をはかり、その成果である商品図面を販売する」→おもしろ!!!
成功していた頃は、研究所リードで商品を出して成功してきた。一方ビジネスがグローバルにマネジメントされてきて拡大されてくるとそれだけではできなくなるところがある
数年前に二輪と四輪の開発部門は本田技研に移されて普通の会社になった
でも全体のデザイン部門、先端技術の開発は研究所でやっている
Power of DreamsのDreamとは何か?エンジニアの夢
自己実現(モチベーション):速いものを作りたい、F1で勝ちたい
利他の実現(理念・共感):スーパーカブ、N360など他社のためにより良い社会を実現したい
MM思想の話
ホンダは軽から四輪に参入した→小さい中でどう競合に勝つか
今思うとこういう車の設計思想の話が自分に相当影響を与えているな……
「差」ではなく「違い」を創ろうという思想
「差」というのはある定規の中での差分。「違い」は定規そのものを新しく創る。新しい土俵を提案しているか
不常識と非まじめ:楕円ピストン、ホンダジェット(主翼の上にエンジン)
三現主義:現場、現物、現実
バブルが崩壊したとき、NSXや高級セダンから「家族回帰」にシフトし、パジェロ・ハイエース・エスティマのようなRVが流行った
当時のRVは商用車ベースだったので、商用車を持たないホンダは売るものがなかった
そこでオデッセイ!
ホンダの営業部門からの要求:背が高く、スライドドアで、シートアレンジが面白くて、ディーゼルで……(既存の1BOXの価値観)
研究所ではUS市場で車種を拡大するためにアコードのシャーシでミニバンを検討していたが、ボディサイズ・V6エンジンが乗らないなどの限界があり断念。それを日本市場向けモデルとして再利用することを選んだ
競合のエスティマ
基本的な考え方は商用車シャーシがベースでキャブオーバー。トラックの荷台を豪華にしたというのがワンボックスであった
ドライバーは音や振動がある、後席と空間が分断されているという問題があった
空間の広さ・便利さは確保できているが、重心が高かったり操縦安定性の問題など快適性・安全安心の問題が存在していた
多人数乗りがほしいがワンボックスには乗りたくない層が存在していた
オデッセイ
既存のFFの良さを徹底的に活かしながらやることになった
「低床・低全高の多人数乗り乗用車」(商用車ではなく)を作った
エスティマ同等の室内高さ・長さを持ったまま低い全高を実現
企画書が良すぎる……
ジャンボジェットに対するパーソナルジェットのイメージで作ろう
サードシートを跳ね上げではなく床下にしたことでより乗用車ライクな使い方ができるのが革新的だった!(知らなかった)
これを提案したら設計のプロジェクトリーダーは無理だと怒って帰っちゃったりした
評価会では……
背が高い・5ナンバーサイズ・スライドドアとかの要件がどれも実現してないので400台/月しか売れませんと営業部門が言っていた
他の車種との競合などもあって四面楚歌的な状態だった
コンセプトを理解し応援してくれる役員がいたり、US営業本部での販売を検討してくれたりして開発を継続できた。さらにステップワゴンなどを企画することでなんとかなった(面白すぎ)
結果的には月に8000台~1万台売れるヒットとなった
その結果、「乗用車シャーシベースの技術でいろんなことができそうだ」ということがわかり、様々な実験をした
クロスカントリーの機能性:CR-V
1BOXの空間・多用途性:ステップワゴン
1BOXでのスペシャリティ/スポーティ:SM-X
最高だね〜〜〜〜!!!
インサイトの開発
環境のリーダーのイメージがトヨタになってしまったので2代目インサイトでイメージを取り戻したい
シビックで環境へのアイデンティティがあるので頑張りたいと思っていた
ホンダは内燃機関の燃費がかなり良かったので、その良さを生かしてシリーズパラレルではなくパラレルでいこうという決定になった。当時はどちらも検討していて、実験の結果小さい車にはコストや性能の面でパラレルを採用することになった
プリウスは高燃費・高コスト、インサイトは中燃費・低コスト。単体での燃費は劣るが車体で頑張り、トータルで勝負すれば燃費は同じくらいにできてコストで勝てるからいいのではないかという戦略を取った
クラリティでイメージ構築、インサイトは手に入る環境車という位置づけだった。なるほどね〜〜〜でも結局そうならなかったのは本当に興味深いな
言われてみれば見た目のイメージが似ている
実燃費にフォーカスしていたので、ECONボタンとか燃費ランキングとかを頑張っていた
しかしプリウスに完敗
結果的に「違い」ではなく「差」だった
3代目プリウスは300万弱くらいかなと思っていたらトヨタは200万で出してきた!しかも2代目プリウスは法人向けに180万円で併売するという体力を甘く見た
基本的にMCで新車価格を下げるというのは普通やれない。なぜなら中古車販売があるから。ビジネス的に崩れてしまうはずだが、トヨタはその定石を破ってきた
企業体力による逆ざやだったし、セールスマンが結局250万くらいを売るという戦略だった
同じ値段で小さくて燃費も悪いという……
インサイトはクラリティに似せて作ったのにプリウスに似ていると言われてしまったのが悔しかった。200万での出発と300万弱での出発ではインテリアの質感も違うし、プリウスを出し抜くために急いだので乗り心地面でも妥協があった
トヨタはセダンユーザーが多く、その層が乗り換えてきた
一番大きな敵は社内にいた!翌年に出したフィットハイブリッド
インサイトより小さいのに広い、ネームバリュー、販売店が売りやすい
価値観が変わる時代だった・技術があまりなかった・他社に圧倒的にリードされて不利な状況だったという背景は似ていたのに……
オデッセイでは「時代にあった新しい価値の車を提供したい」と思っていた
インサイトでは「ホンダの環境イメージを再構築しよう」と思っていた
オデッセイは社会を見ていたが、インサイトは社内(自分たちの都合)だった。結果的に価格という同じ土俵に乗ってしまって負けた
個人的にはチーム/プロジェクトリーダーの意志と執念が違ったと感じる。オデッセイでは何度も潰されそうになりながら強い意志でやり遂げていた。
自分たちでほしい車を作った。多人数乗りだけどワンボックスではなく乗用車のように走る車がないかというニーズが社会的な需要と結びついていた
インサイトはもしかしたらそうではなかったかもしれないという結論
質疑応答
自動車というジャンルは単価が高くて量が多いのが特徴。我々としてはコモディティ化しないように当時はすごく考えていた。それが差ではなく違うという話だった。
しかし現在においては車の種類もかなり多様化していて会社も増えているので、コモディティ化しやすくなっているのも感じる。
需要が大きいかどうかというより需要を作るというのが大事なんじゃないかと思う
プロジェクトの脱落率について
デザイン部門の中でもいろいろ検討することはあるが、うまくいくのは2~3割くらい
もし出ていたら売れたかもなというプロジェクトはあるか?
あるけど、その時点では早すぎて経営者や営業の理解に至らなかった
でもみんながみんないいねというアイデアはもうその時点では遅い
2~3割の人がすごくいい!と言って、もう2~3割が絶対ダメだと言って、残りがよくわからんと言ってるのが一番いい
車の開発には2年くらいかかるので、作ってる間に状況が変わる
自動車そのものの目的からちゃんと考えられるとうまくいくオデッセイができた。そこがおろそかになったのがインサイトの問題だった(先生)
昔は「それはナンバーワンなのか?」と評価会で聞かれていたが、「それは儲かるのか?」と聞かれるようになってしまった。どんどん今の市場に寄せた、儲かるか儲からないかという基準で考えるようになってしまい、いろんな企業が残念な感じになっているというのが自分のイメージ
2023/05/15
独協医科大学総合診療医学講座 志水太郎主任教授
医療は患者の健康状態を最大化する仕事
「診断」にフォーカスしている
患者は機械ではない。診断には患者の納得感が重要
東大の沖中教授:退官時に自分の生涯での診断の誤診率を発表した。すごい
7人に1人が誤診!
2010年頃から診断のエラーについてのトピックが流行ってきた。沖中先生は50年くらい前からやっててすごい
診断のエラーは、医療における経済的損失の最大級の問題
ベテランの医師は迅速かつ正確に診断できるが、患者にとっては診断にばらつきがあるのはアンフェア
なぜ診断が成功するのか・失敗するのかの方法論や思考技術を包括した概念として「診断戦略」と名付けた
Safety1:失敗ケースから学ぶ
最終診断はAだったが、Bだと診断してしまったケース
どうして失敗したか?→AとBは特徴が似ていたため間違えた
Pivot and Cluster Strategy (PCS):ある病気(Pivot)と似ている・近い病気の集合(Cluster)で整理する
例えば肝性脳症をPivotに、高血糖・ビタミンB1欠乏・辺縁系脳炎などのClusterが形成できる。肝性脳症かと思ったら○○だった、という誤診を体系化する
IEEE Bioinformaticsの学会ではクラスタリングを実際にやった論文がある(おもろ)
Safety2:成功ケースから学ぶ
Mind wanderingとInsight
意図的に考えない時間をとることが重要
アイデアを放っておくことの重要性(インキュベーション)
思考と論理
A→B→C→Xという論理構造のとき、A→Xという思考・アブダクションが起こることがある
でも論文としてはちゃんと論理構造を追うことが重要
日本の医学生はここが弱い(らしい)
イノベーションの加速のために
一般論:ユーザーニーズとクリエイターニーズ、どちらもドリブンのデザインが必要
医療でいえば患者と医師
2023/05/22
業務プロセス(これまでの行動パターン)・経営資源(資産)・価値観(経営資源の配分の源)の3つの要素が組織の強み、弱み、死角を規定していく
オープンイノベーションは日本の企業には向いていない、合っていない
日本におけるオープン化の可能性、方向性とは?
https://gyazo.com/1157e512345f644a9725472488f9f042
例えばアメリカの映画は脚本・音楽・演出などロールがはっきりしていて、各ロール間のインタフェースが統一されている。各ロール内でcompetitionが生まれる
https://gyazo.com/795785edf70e47402748dda7b2b5151a
日本はすり合わせをひたすらやることで統合された価値を生み出す方式が多い。責任範囲が明確になっていない
https://gyazo.com/5147e32a612a71c7ca8bba39f2aca234
先生「『純国産ロケットを作ろう』に感動するのは日本人だけ」。ロケットは色んな国で飛ばしてるんだから各パーツはそこから買ってきたほうがいい。クローズドな世界で自分たちだけで作ろうとするのが日本の国民性なのではないか。
先生「国産ロケットが飛ばないのは、既存アセットを使わず一番最初から作ろうとするから。オリジナルポイントから作り出すのがよくない。車くらいの複雑性なら答えにたどり着けるが、飛行機やロケット、金融システムは当分無理なんじゃないかと思う」
アーキテクチャ理論
https://gyazo.com/181d27ce45e6fee888774993f37c9b69
こうしてみるとApple的なインタフェースデザインはひたすら日本的だと感じる。なぜああなれないのか デザイン屋より技術屋が強いからかな……
あと自分が標準を定められるんだという自信?
あとは最初からああなれるわけがないので、徐々に成長する間はああではないやり方が必要なんだと思う
https://gyazo.com/11388e9a130da7e09f7dd1077ee0f85b
基盤的なものづくりのプロセスを教えてもらえるところは非常に少ない。
でもこういうプロセスを知って、どう応用していくのか正直わからない。雰囲気でものづくりやるのは確かに良くないのかもしれないけど。デザイン思考とかは1個そのメソッドであったはずなんだけど、どこまでいっても取りこぼしが発生していて、発想に役立つフレームワーク程度にしかなっていないような気がする。試さないといけないと思うけど
https://gyazo.com/daef73f04d2999abe89d6e206d647bdf
日本企業は右を目指そうとしてしまうが実は真ん中がいいという話。M社ってどこだ
https://gyazo.com/96bfeb0074c2bcaaf9d2007aed65b085
空調メーカーD社
https://gyazo.com/65097b949ea604f1bde0b17702f13dd1
中国富裕層向けが国内の10倍くらいになった時期があった。
品質イメージを優先して非現地生産化。面白い
ショールームの出来が良い。徹底的に顧客目線に立ったサービスを提供した。空調機の違いは普通わからないが、科学館みたいな展示で中身の部品の精巧さをアピールし、その後にA社やB社と音の比較ができる部屋がある
専任のエンジニアが各顧客についてコンサルティングしてくれる
拠点長が完全に文系でエンジニアリングに関係ない人。造り手側からの見え方じゃなくて使い手視点だけで作ると効果がある。
当たり前のことを当たり前にやっている。すごいことをやる必要はなく、当たり前にできればすごい競争優位性になる。
自分たちの組織的能力を理解し、活かしている。国内の多くの企業では現場は強すぎ本社は弱すぎる。戦略が重要。
外部環境の変化に対して揺るがない対応方針を持っている。
2023/06/05
三宅さん降臨
生産技術研究所
前よりゲーム全体が海外に遅れを取っている。最近盛り返してはいるけど前ほどの勝ち方ではない。ゲームAIは特に遅れている
FFXVのAIを作っている
ゲームAIの独自性:リアルタイムで、身体を持つ
一方ビッグデータ解析などはノンリアルタイム
ゲーム、VR/AR、ドローン、ロボット、エージェントなど
1994年(ゲーム機が3Dになった)にゲームシステムから3つのAIが派生した。操り人形的に2Dグラフィックを動かすことが、3Dの複雑なパーツではもうできない
80年代:スクリプテッドAI
スーパーマリオのすべてのキャラクターはパターンを繰り返しているだけで、プレイヤーを認識とかはしていない。最後のクッパでさえプレイヤーを見てない。パターンによるキャラクターの制御
90年代に最初に分岐したのがナビゲーションAI
キャラクターがゲームの中を移動できるAI
ゲームのマップの地形を読める。カーナビみたいに経路検索してエージェントが移動していく
次に分岐したのがキャラクターAI
その次に分岐したのがメタAI(神様AI)
それぞれの時代にエポックになったゲームがあって、それで業界の中で広がっていったという歴史!
99年〜2000年にアメリカで変化が起こった。そこを日本は追うことができなかった
日本にアメリカが圧倒的に負けていて、ノウハウ共有のためにGDCというカンファレンスを結託して作った
日本ではずっと工芸的に作られていて、ノウハウの共有はもってのほかだった
そこからアメリカが強くなってきたが、今だからそこで変化が起こっていたことに気づけているけど昔は気づけなかった
機械学習が始まる
ゲーム産業の中には機械学習のエキスパートは本当にゼロ人だった。機械学習のエキスパートがゲームを使ってやるというのが今も昔もそう
しかしこれはほとんどゲーム産業やアカデミアから無視される。この理由はいくつかあるが……
こういうのを触れるのはMicrosoftくらいしかいない
特に当時、2000年代のゲームはグラフィックスがどんどんよくなっていてグラフィックで売ろうとしていた
三宅先生「ニューラルネットのライブラリ(200M)を開発したらお前はアホかと言われた」
今は山のようにこういう研究がやられている。当時は早すぎた
セントラルドグマ:すべての情報を集約してうーんと考えて解を出すのがいいという考え方。今でも将棋AIとかはこれ
でもリアルタイムには向かない
絡み合う思考にどう優先度をつけるか?
https://gyazo.com/8ceefdd9fedec026301b073edbc58580
近くに敵がいたら「反射」で早く反応、遠ざかるに従って理論的に考えればよい
当時は批判の嵐
AIは抽象的なもので、behaviourベースで身体行動をするんだったらバッタと一緒でしょと言われた
お前が作ってるのは人工知能じゃないぜと老人に言われた
階層的に人工知能を作ろうというのが重要
スパーシャルAI(空間的思考):もっとも地味な技術がすべてを変える
人間はほぼ無意識的に空間認識とダイナミックな計画をできる
AI自身に空間的推論能力をつけようという考え
パス検索(A*法など)
キャラクターが自分ですごい距離を移動できるのであれば、ゲームが箱型である必要がない
それまでは移動が大変なのでレベルごとに箱庭を作っていた
ゲームデザインはもう箱じゃなくていいんだ、というブレイクスルー。プレイヤーがいる場所にNPCが後から行けばいい
今のオープンワールドに至るゲームデザインの変革
地味な技術だけど、最もゲームデザインを変えたのはキャラクターAIでもメタAIでもなくナビゲーションAI
AIたちだけで作戦を立てて行動したり、キャラクターAIの成長を促した
この技術自体は60年代からある!!
これを再発見するまでに30年もかかった
たまたま96年くらいにゲーム雑誌に記事が載った
2008~9年頃から、ゲーム産業の中で「パス検索だけでなくNPCキャラクターに空間を認識させることが重要だ」という認識ができてきた
人間がNPCを賢いと思えるのは、NPCが空間または道具をうまく使ったとき
位置検索も重要
案内役キャラクターを、プレイヤーの位置から見えるか見えないかギリギリの位置に配置してプレイヤーを誘導する
スマートオブジェクト
NPCは自分の身体感覚が希薄なので道具を使うのが苦手
物の方に人工知能を持たせて物からキャラクターを操る
面白!!!rtr-dnd.icon
例えばキャラクターがドアを開ける際、ドアがキャラクターを制御して、NPCキャラクターが賢くなくてもよいようにする
ドアがモーションデータを持っていたりする
「スマート」という言葉は、人間以外のものに知能を付加したときに使う
人間にはインテリジェンスという言葉を使う
スマートロケーション、スマートスペースという概念もある
メタAI:ゲーム産業発、ゲーム産業以外にはない技術。他の産業からの引きが強い
プレーヤーがどのくらいの腕かを判断して、出てくる敵が強くなる。強い人には強い敵が、弱い人には弱い敵が出てくる(「ゼビウス」、ナムコ 83年)
ゲーム側がユーザに合わせるのがメタAIの発想
キャラクターAIが発展したことにより、メタAIは自分ですべてを操作しなくても、キャラクターAIに移動することができるようになった
キャラクターAIがそれぞれ自律するとまとまりがないので、統制を取るためにメタAIが必要になったとも言える
Left 4 Deadというゲームに採用された
ユーザーの緊張度を推測し、緊張しているときにはゾンビを出さず、リラックスしているときに大量にゾンビを出して驚かせる
めちゃくちゃ売れたCounter strikeのチームが開発した。自分たちで分析してみたら、緊張と緩和のタイミングが交互に来るのがよいということがわかり、それを意図的・人工的に再現するためにゾンビゲームを作り、それも世界的なヒットになった
マップの自動生成とかもある
全部作るのではなくブロックを組み合わせるSemi-procedural
メタAI + 機械学習でよいマップを生成するようになる
最初はただのレベル調節AIだったのが、ゲームデザイン自体にも介入するような技術になった
メタAIは人間(ユーザ)を理解することがミッションなのが面白い
ゲーム業界は、いろんな小さなイノベーションが至るところでぽっと起こる
先生「いろんな技術が次の技術をインスパイアしさらにインスパイアして技術が発展する。」
情報を共有することが業界全体にとって重要
2023/06/12
https://gyazo.com/2105c2292c4f8febec8be8df45e961e2
ゲームをあくまで実験環境として使うならゲームは研究に役立つが、実際にゲームに組み込む動きはかなり遅い
「ビックデータ x ディープラーニング」から「シミュレーション x ディープラーニング」へ
データがまだないところで人工知能を成長させたい→強化学習
もともとAIの前にはビッグデータが流行っていて、それはクラウドの流れに乗っていた
日本が遅れを取っていたのは、人工知能自体の技術ではなくクラウドのシェア争いで負けていたから
クラウド戦争の勝者が必然的にビッグデータ×ディープラーニングの勝者になっている
シミュレーション×ディープラーニングはどこも勝者にはなっておらず、それぞれがそれぞれの小規模なプラットフォームになっている
https://gyazo.com/5637a8b235e36ecba71d71b62ced7aa7
これ面白そうじゃね?ゲームのロジックをAIで代替しようとしている?→AIロジック https://gyazo.com/e4ca500afdbb2b1db47a0e63f291b0d8
スクエニAI部も萌芽的研究をしているらしい
もともとは「機械学習はダメ」とずっと言われていた。AlphaGOとかが「効果的なデモ」になったことで注目され始めた。それを考えていたのがDeepMind社。言葉を越えて誰でもわかる、難しいゲームとしての囲碁
https://gyazo.com/02ee05e076b72d7b5d943b013fee2d10
Deep Q Network (DQN)を最初に提案したのがDeepMind / AlphaGo
ゲームを強くしても何も意味がないと言われていたが、AIを強くするためのシミュレーション環境としては意味があるよねという流れになりつつある
DeepMind社が面白いのは常にインパクトを作ろうとしている。常に世の中に与えるインパクトを考えながら研究している。シンクタンクなので評判が全てというところがあり、世の中的には「囲碁が強いならこういうすごいこともできるだろう」という評判が立つが、まあ実際はそんなことない(先生)
Microsoft / Facebookは自然言語処理に力を入れていて、TextWorld(テキストで遊ぶRPG的なもの;「ChatGPTでRPG」に近い)などのアプローチでゲームに関わっていた
こういう大きい企業は二重のR&Dシステムになっている
自社でやってるR&Dがうまくいく場合もあるし、いかない場合もある
小さい企業に対してちょっとだけ資本を入れておき、大きくなってきたらどんどん資本を増やしていく
これがOpenAIにやってたこと
先生「大学より企業の研究所のほうが研究しやすい説がある」
だよね〜
e-sportsについて
最初のe-sportsは日本でゲームセンターの対戦文化の流れから生まれた
アメリカを中心とするFPS対戦の流れ(2000年前後)
韓国においてe-sportsという文化(チーム、スタジアムとか)がStarcraftというゲームにより起こる
Dota2というゲームでOpenAIは強化学習をやっていた
メタバースとスマートシティ
今のメタバースブームは3回目
オンラインゲーム:Phantasy Star Online、Eve Online、Second Life、Roblox
セカンドライフが最初に出てきたとき「なんで?何が面白いの?」と思った(先生)
セカンドライフの影響:ai sp@ce(ドワンゴ)、meet-me、PlayStation Home→2018年くらいまでに大体終わる。お金を儲ける手段がなかった
今:Horizon Worlds、Fortniteなど→メタバースと経済の融合
スマートシティ:今大量にデータ収集をしている。集めたデータで何をするのか?
ゲームAIの技術をそこに導入できないかと思っている(先生)
メタAI、キャラクターAI、スパーシャルAIが連携する
https://gyazo.com/37462829796d0cd8c934f182c454f685
https://gyazo.com/0222953a2d612ffe1697ae146932ca27
良き
https://gyazo.com/3b973a81aa7a272fb2a5fce107b98346
メタバース:行く必要がない場所(!)
必要がないというのは悪くなく、だからこそ現実世界とつながることができる
オンラインゲームは第二の人生なので逆に現実の情報を持ってくるのはご法度!
現実の延長としてのデジタル空間、という意味で、現実世界の一部とつながれるのがメタバースだと考えている
うわ〜〜〜〜!
現実と同期するメタバース。インターネット上で価値があるのは現実世界の情報をいかに早く持ってくるかということ。そうすればこれまでの検索エンジンではなくメタバースが第一の情報空間として価値が出てくる可能性がある。いかに高速で同期するかが重要で、これはこれまでのオンラインゲームではあり得なかったこと。
ちょっと思想が強すぎて
今作られてるメタバースはほぼ失敗しているのであんまり気にしなくていい。これからメタバースを一番うまく使えた企業が勝つ。基本的に問題はサーバー側の技術で、オンラインの技術を持っている数少ない企業がゲーム産業。
2023/06/19
生成AIについて
proceduralなジェネレーションやモデリングによるものは、AIとは言わないが大きくゲームAIに影響している
No Man's Skyの話
80~90年代のCG業界で地形の自動生成などが活発に研究された(SIGGRAPH):主に映画業界からお金がどんどん流れ込んできた
L-system(エルシステム、Lindenmayer system)は形式文法の一種で、植物の成長プロセスを初めとした様々な自然物の構造を記述・表現できるアルゴリズムである。自然物の他にも、反復関数系(Iterated Function System; IFS)のようないわゆる自己相似図形やフラクタル図形を生成する場合にも用いられる。L-System は1968年、ハンガリーユトレヒト大学の理論生物学者にして植物学者であったアリステッド・リンデンマイヤー(Aristid Lindenmayer)により提唱され、発展した。
AIによる人間の作業のEnhancementが重要。協調作業。スタンプツールやブラシの自動生成など。AIと人間のインタフェースが重要になってくる。
AI技術を持っているのがエンジニアなのがよくない。相手の立場に立って考えられないので。その架け橋をする仕事が今後重要になってくる。
「技術マネージメント②: 障害となるポイントを解決する(100%でなくても良い)」
これがアーティストとの協働とかの文脈
ゲームデザインを生成AIにやらせる
知らんかった……
実は開発コストは開発そのものよりコンテンツのチェック(できたものが面白いかどうかの検証)にかかっているので、それをAIにやらせたい
「技術マネージメント③: 細かい技術ではなく、未来からビジョンを持ってくる」
ビジネスサイドに提案する際に、技術者としてではなくどう嬉しいことがあるのか、包括的に言う
例:「人間が製作し、人工知能がチェックすることでコストが浮く」
何百人がデバッガーとして数カ月間割かれるのをAIで代替する
生成系AIは、単体ではなく他の何かと組み合わせたソリューションがよい
マネージャーの役割は技術者に予算を持ってくること。技術者として技術だけ考えてるヤツと思われるのは多くの場合よくない(技術チームのリーダーとかはそれでいいこともあるけど)
自然言語対話技術の戦略
欧米では言語の重要性が大きい。ビジネスでは契約書が絶対だが、それを持ち込んだのは欧州(先生)。これは聖書を重視することに関係しているかも?(先生)
https://gyazo.com/4b3cbb29df13818d721ab4b550841f48
https://gyazo.com/c879fe6ff4e94c465272d4c97850c9fe
2023/06/26
福田哲夫さん:日産→インダストリアルデザイナー
美しいとは?
愛らしい、形などが快く好ましい、いさぎよい、さっぱりして余計なものがない
→シンプルなモダンデザインに通ずる、日本の美意識
新幹線の作り方を変えたデザインの仕事:300系からN700系まで
インダストリアルデザイナーとしてのパーソナルヒストリー
大恐慌ですべての消費が冷え込んだ結果、マーケティングやインダストリアルデザイナーという職種が現れる
40~50年代にGMやフォードがデザインセクションを作り、様々な色が技術的に可能になる流れの中職能が認められてくる
鉄道の客が少なくなったとき、流線型が出てきた。M10000、バーリントン・ゼファーという2つのエポックメイキングな車両が出てくる。新しい素材(アルミとステンレス)、新しいエネルギー(石炭ではなくディーゼルに)によって、すごい速度で大陸を横断することができるようになった。流線型は速い、魅力的ということになってみんな乗るようになった。
他の会社も流線型を真似した。中身はまったく変わっていないのにモナカの皮だけを変えれば客が来た。そういう時代があったので、未だに人々の考えるデザイン像がそれに引きずられていて迷惑している(先生)。
1964年にデザインを学び始めた。東海道新幹線が開業する。自動車のデザイナーとしてスタートし、「アドバンスデザインスタジオ(仮説提案型の開発手法、モーターショーのように未来を描くことでバックキャスティングする!)」で働いていた
会社をやめる(1970年)。自動車はこれからダメなんじゃないかという危機感、夢に向かってフリーランスとして独立する。
東京の都営バスのデザイン。遠近感を使って、なるべくお客さんに後ろに行ってもらうようなデザインをした。デザインはマナーを促す
1987年、デザイン事務所を設立した2年目に国鉄が民営化され、新幹線のデザインの仕事が来た
機能のカタチ(Engineering)× 感性のカタチ(Styling)= 概念の可視化(Design)
機能的な安全 × 感性的な安心
鉄道車両の作り方を変えたデザイン・アプローチ
1. スケッチによる情報の共有
問題解決型 vs. 仮説提案型:工学的なアプローチは今までのデータを積み重ねるやり方だが、我々の職能はこんなのいいんじゃないのという曖昧な提案を行い、両者がすり合わせることでモノにしていく
新幹線でもクレイモデル作るらしい、当たり前だけど知らなかった。ガチで大変そうだな
2. 設計の作法を変えた「流線型」
鉄板をただ曲げるだけではなく3次元曲面で提案する
それまでの寸法基準は、外板内側の骨を基準にしていたが、それが外板外側を基準にするようになった。強度要件によって板の厚みがバラバラなので、従来は凸凹になった外側をパテで盛っていた
曲率を無段階で変えていくのを導入した。緩和曲線という 窓をカーブにしたことで応力解析的にも強度が上がり改善した
形態が機能に従うのではなく、形態が機能を生む
3. 流線型による現場の改革
「三次曲面なんて自動車じゃないんだから!鉄道の板は分厚いんだから綺麗にできるわけないよ」と言われたが、省エネ化の時代でいかに板を薄くするかということになってきた
溶接ではなくプレス→アルミ削り出しの流れに
30年前に曲面を提案していたから今300km/hとかが出せる。いや〜たまりませんな。バックキャスティングと合わせて
板金・溶接・塗装・照明など歪みを確認するワークフローを確立
4. 内装の組み立て作法を変える
長い新幹線でパネルがずれないように・隙間ができないように内装を組み立てるのは大変
目地を合わせ目地から重ね目地にすることで視覚的ノイズを抑える工夫、組み立て調整作業時の大幅な工数削減
側壁を曲面にして包まれ感を演出
5. 空調システムの提案
空調吹き出し口を屋根ではなく荷棚下から吹くように工夫することで、軽量化・低重心・通りの視覚的ノイズ低減を実現。N700Sでは吹き出し口そのものをなくし、パネルの隙間から風を出すことでさらにすっきり、部品点数も削減
もともとは空調機が屋根上にあったので吹き出しが屋根にあるのは合理的だったが、新幹線では重心の関係から床下に変更された。なのに吹き出しは屋根だったので提案した
温度センサーの位置変更など
6. 座り心地のデザイン
シンクロリクライニングの提案。背もたれが倒れると同時に座面が沈み込むことで、腰のピボットがずれない。何回背もたれを倒して起こしても、ワイシャツの裾が出てこない
7. 発想の90度転換で広いトイレ
手洗いのボウルの下が空いていることで床を広くする。成形時の金型を90度回転させて、抜きテーパに左右されず自由な成形ができるようになったことで可能になった。
8. 造形の機能へのこだわり
天井のアーチ + 間接照明を使って天井の陰影をはっきりさせ、天井のアールの高さが実際より大きく見えるようにする
通路の壁をカーブにして、心理的に広く見せる + キャリーバッグが引っかからない
9. 運転席と視界
柱の断面を丁寧に検討。デカルト座標的な決め方ではなく運転席から見たときに視界が最大になるように
10. 外装色
山形新幹線をシルバーに。四季折々の色を映し走行する
JR東海の在来線:形態を超えた色彩の統一で信頼感と安心感を出す。企業としてのブランド
東京メトロ丸ノ内線:沿線への愛着の声を反映して伝統の赤に
東海道新幹線:揺るぎない「白砂青松」
快適品質向上と反比例するような製造最適化の両方が求められる
知識を組み合わせることで新しい知恵が生まれる。きゅうりと塩をそれぞれ食べても、一夜漬けの美味しさには敵わない。
何にでも驚く(!)。わかったつもりでいるような目はしない。それと同時に科学する心をもつ(?)ことをインテロバングに例えている。
旅行に行くときはなるべくカメラを持っていかず自分のスケッチブックにメモをしているらしい。すげえーーー
2023/07/03
物語の中の人工知能の描かれ方を見ることで、人工知能がどのように受容されているのか見てみる
攻殻機動隊では、タチコマのようなAIが自律存在として使われている 知能には意識的な部分・無意識的な部分があり、たいていの人工知能は意識的な部分を扱っている。体を動かすとかはこれまであまりやられてこなかった。タチコマのようなものを作ろうと思うと無意識的な問題を扱う必要が出てくる
80年代くらいまでこういう運動に関わる人工知能はとても見下されていて、頭を使うのがいいと思われていたが、その後評価されている
我々の意識では「外部からの情報」→「言語による精神の構造化」が行われており、無限の情報量を持つ世界をクオンタイズしている
都市AIの話ですね
物語の話をしてからAIによる物語の話へ
物語における対立構造
https://gyazo.com/4672ef9a1bcb47dce22872307e716509
「行きて帰りし物語り」
対立構造を増やしてから減らしていく。最終的には対立が解消されるかアウフヘーベンされる
https://gyazo.com/7dce6861493ffba56a309322741e41d4
https://gyazo.com/6976a3ed0ee42ba5a4b25930c958a65b
https://gyazo.com/4439a70c770d3155c14adde20150092d
面白いな
https://gyazo.com/a9e58a0964f5bb88566317ffe6ae1472
https://gyazo.com/8b6d15d9e5d3b6da3418e23a90f3eeb2
https://gyazo.com/1230d6c888d390efd8b0715cea91e820
機械と人間をつなぐのが非常に重要。機械はしゃべれないので。だいたい技術に詳しい人(真田さん)が何かと前に出てきて説明する。
知能のあり方を、実際に存在しないフィクションから学びたい。我々の知能の狭さを提示することにもつながる。
アシモフの「神々自身」:性が3つある世界。3人1組で子供が生まれる。そうすると考え方も「3」がキーになってくる。
銀河ヒッチハイク・ガイド:ツイスト型。ロボットがうつ病で人間が楽天的。
https://gyazo.com/0eb632a8b79398f15e06b45056077e7c
歴史に関係していて面白いらしい
AIは偽物なのか?
https://gyazo.com/4cb769d276710273035b190c821c0e50
https://gyazo.com/4074331e58959b00d76850771557e166
「エンダーのゲーム」:ゲームをやっていると思ったら、最後のステージだけ現実で宇宙戦争に加わっていたという小説。70年代という早い頃から予見している
個人・社会・文明のうち、今起こっているのは個人と社会の変容。そのうち人間の文明そのもの、歴史そのものを人工知能が変化させる可能性がある。例えばアートの歴史には人工知能が介入してきている。
アニメーションにおける人工知能
https://gyazo.com/63a6578fa80d9d57cc1d6e81fa159e41
アニメーションにおける人工知能の描かれ方の型
https://gyazo.com/850bfbd5c662240282e6fa76cb660d67
日本ではロボットをサーバントではなく友達として見たい、対等に見たいという思いが大きい
https://gyazo.com/683099f593d8273913f563a1470cde52
デカくて物語の中心になるが、あまり頭は良くないことが多い。デカくて頭がよかったらもう誰も勝てないから!
小型アンドロイド:人と同じ身体を持つが超人的能力を持つ。超人的能力を持つがゆえに社会的排斥。→社会が持つ未来的志向を具現化している。
大型アンドロイド:人と違った身体を持ち特殊能力を持つ。あまりに違うためにそれなりに受容。→重工業へのロマンを背景に登場。
https://gyazo.com/207b67328bb77ba6fbcdfc25da13ff01
https://gyazo.com/156f827352792b789c26a7e6c0e8b554
https://gyazo.com/2cddf44ec1e1aecc7d53251975d9f509
テクノロジーを描くとき、機械をしゃべれるようにすることでストーリー上便利にする
https://gyazo.com/f3eb9659ac7b39858f29e2e8540d7185
https://gyazo.com/742d5bc9bf29623003e1c99d468d1826
手元に人工知能がないという状況はChatGPTに近い
https://gyazo.com/21125d473dda48063297134f31069787
さらに現実世界に実体を持たないAIが出てくる
https://gyazo.com/324b0ebf947e1d58f932878850b1d14e
そして人間とAIの融合型、拡張知性が出てくる
https://gyazo.com/81c285c26f9456b36bccfe8d4cc89bc9
(1) 人は普段、制限されている自分の知性から解放されたいと思っている。
(2) 車の運転がそうであるように、より機械や世界を自由に操作したいという願望がある。
(3) デジタルのプログラムや世界も自由に支配したいという願望がある。
(4) 人間が持つ境界を軽々と超えて、機械やデジタル空間を自由に操作する存在に憧れる。
(5) (1)-(4)を実現するのが、拡張知性で、それを見ることは楽しい。
https://gyazo.com/8506f6c248c391da9f740598a2b365fa
https://gyazo.com/e52c92fe6e5476f99d7a05dfff2a028c
https://gyazo.com/d0da13aba2fb762dfdcfcc1afdc96a58
意外と学習型AIは少ない。5~6年前まで機械学習は役に立たないというのが定説だったので、あまり描かれてこなかった。また学習型AIは時間がかかる、変化がわかりにくいというので描かれにくい。
2023/07/10
ソフトウェア空間が持つデータは多次元。それをユーザにいかに負荷なくアクセスさせるかが重要。
最初はマルチウィンドウで下側にメニューが出ている:「Wizardry」
https://gyazo.com/ef3a5fb082546aeb3f61286a33d60506
ソーサリアン
https://gyazo.com/478c62da0794d87c29ba0ae15c8e47a6
「マッピング」という行為
TRPG時代にはマップが存在せず、自分で作っていく必要があった。それもゲームの楽しみの1つだった
「世界樹の迷宮」「カルカソンヌ」「スコットランドヤード」
デジタルゲームは二次元から三次元へ。ゲームの空間構造をいかにユーザに伝えるか、アフォーダンスを伝えるか レベルデザイン:「東京ザナドゥ」では実際の街(立川)を使っている
レベルマップ、スキルマップのような可視化テクニックがいろいろ出てくる
アドバンチャーゲームの歴史の一つの到達点
バトル・アドベンチャー・コレクションの3つの側面が統合されたゲーム
モードごとに画面構成がまったく違う
RPGは「インターフェイスゲーム」と呼ばれているくらいずっとメニューを触っている。 マップ
シムシティはゲームエンジンのマップエディット機能を使っているときが一番楽しいという開発者の気づきによって作られたらしい ネオアトラスは、たくさんの航海の情報から自分が信じた情報によって地形が変化する。 UIデザイナーとUIプログラマー
ゲームナラティブのイノベーション
ELIZAでは人間のコンピュータが1:1しかいない。これが対話エージェントの始まりで、非常にシンプル ネットワークゲームのイノベーション
「お隣」の映画産業の話
ピクサーでは大量に犬を動かすときに、全員を動かすのではなく数匹だけ動かしてあとはAIがついてくる制御にしたりしている